計測・制御・監視とシステムの株式会社チノー(本社:東京都板橋区、代表取締役社長:豊田三喜男)のグループ会社であるアドバンス理工株式会社(本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 五戸成史)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(理事長:中鉢良治)ナノ材料研究部門(研究部門長:佐々木毅)ナノ薄膜デバイスグループ(向田雅一、衛慶碩、石田敬雄ら)が持つ技術※を基に、熱電材料の厚さ方向のゼーベック係数および電気抵抗率が評価できる、厚さ方向熱電特性評価装置「ZEM-d」を開発し、2019年4月から販売を開始します。※この成果は、NEDOプロジェクトにおけるTherMATの研究開発成果を基にアドバンス理工が開発し製品化したものです。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ニュースリリース 「世界初、熱電変換材料の厚さ方向の変換性能を正確に計測する手法を開発」

NEDOプロジェクト「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」

未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(通称TherMAT。産業技術総合研究所は 同組合構成員)

製品の概要

近年、焼却炉や自動車のエンジンルームなど様々なものから排出される熱エネルギーを有効活用し、再生エネルギーとして回収する技術が注目されております。その中で、熱エネルギーを電気に変換する際に駆動部がない熱電材料による発電技術は、メンテナンスフリーでクリーンな技術として注目を浴び需要が高まってきています。

アドバンス理工は、従来から熱電発電技術開発における熱電材料および熱電モジュールの評価装置を販売しております。材料の熱電特性として、ゼーベック係数、電気抵抗率、熱伝導率の三物性があります。ゼーベック係数と電気抵抗率の評価においては、既存の装置では図1のような構造であったため、材料の面内方向(長手方向)のみ測定が可能であり、熱伝導率の評価においては、フラッシュ法による材料の厚さ方向の測定が主流となっています。今回、販売する装置では、図2のような構造とすることで、既存の装置では測定が不可能であった、熱電材料の厚さ方向のゼーベック係数と電気抵抗率の測定が可能です。

図1 既存の測定法

図2 新装置の測定法

 

熱電材料は多様な種類がある中で、金属系の熱電材料は、その主な製法から試料内の均一性が高いため、測定の方向はそこまで議論されてきませんでした。しかしながら近年、低コストで高い生産性があり、かつフレキシブルな材料として、有機系の熱電材料が注目を浴びており、主な有機系材料である、PEDOT/PSSが異方性を有するという指摘もされています。今回、販売する装置で厚さ方向でゼーベック係数と電気抵抗率の測定が可能となり、異方性を有する材料の熱電特性を、測定方向を一致させて評価することが可能となります。

測定原理

図3のように、同心円状のリング電極とその中心に熱電対を、薄膜の表と裏にそれぞれ取り付けることで4つのプローブとみなします。リング状電極に電流を流し、中心熱電対を一電極とみなしてその間の電圧を測定します。さらに、電極間距離(図3のd)を変えた測定を数点行い、dを0点外挿※した値を4端子法近似値とします。
また、図4のように、試料上下の温度を個別に制御し、試料の上下(膜の厚さ方向)に温度差を生じさせます。図5のように、測定温度(T0:試料中心温度)から、上面の温度をΔT1だけ上昇させ同時に下面の温度はΔT1だけ低下させます。これでΔT1の2倍の温度差が生じることになります。この時の熱起電力(ΔV1)を中心電極で測定します。同様に、ΔT2、ΔT3と温度を等分だけ変化させ、熱起電力ΔV2とΔV3を得ます。このように、温度差を数点取り、それぞれの温度差で得られた熱起電力と温度差との傾きからゼーベック係数を算出します。試料の上面の温度と下面の温度は、厚さ方向における中心温度から等分だけ変化させるため、測定温度を一定とすることができ、精度の高い薄膜の厚さ方向のゼーベック係数を得ることができます。

※外挿:いくつかのデータを基にして、データの範囲外の予想される数値を求めること。その方法を外挿法という。0点外挿とは、いくつかのデータをx軸の0点(y軸との交点)まで延長し、そのy切片の値をとる方法。

図3 電気抵抗率測定原理図

図4 ゼーベック係数測定原理図

図5 ゼーベック係数測定用 温度差設定

 

価格:厚さ方向熱電特性評価装置「ZEM-d」 定価980万円~
初年度販売目標: 10台

特長

  • 温度差をつけた状態での厚さ方向のゼーベック係数および電気抵抗率の評価が可能です。
  • 試料セット時のリード線接触良否判定用V-Iプロット計測を自動化し、最適電流を設定します。
  • フレキシブルな薄板試料の面内方向測定も可能です。(オプション)

用途

  • 有機系および無機系熱電材料の厚さ方向熱電特性評価
  • フレキシブル材料の異方性評価

仕様

  • 測定物性:ゼーベック係数、電気抵抗率
  • 温度範囲:最高200℃ (試料高温側)
  • 試料サイズ:断面積:最大φ30mm 長さ:0.01~20mm
  • 測定雰囲気:大気中、不活性ガス中

厚さ方向熱電特性測定装置「ZEM-d」外観

お問合せ先

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アドバンス理工株式会社
営業本部  斉藤 利文
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